アラブ人と接すると分かると思うのですが、彼らは日ごろから「インシャアッラー」「マーシャ―アッラー」「スブハーナアッラー」とよく【アッラー】のつく言葉を口にします。
「インシャアッラー」は直訳すれば「神が望むならば」と訳されますが、この記事ではアラブ人が「インシャアッラー」と口にする時、実際彼らはどんな意味合いで使っているのか、どの程度の信ぴょう性があるのか、期待値はどれくらいなのかを筆者の経験をもとに解説したいと思います。
筆者は夫と結婚して以来ずっと中東のクウェートで生活しています。
日ごろからコミュニケーションをとる夫や姑をはじめとしたアラブ人は、毎日のように筆者に「インシャアッラー」攻撃をしてきます。
インシャアッラーはインシャアッラーでも、二通りの解釈があるのでそこがややこしいし、白黒はっきりしない返事でイライラしがちなところでもあります。(笑)
早速インシャアッラーの解説に入りましょう。
まず、インシャアッラー本来の意味である「神が望むならば」の意味で使われる場合、相手(インシャアッラーを言う人)は少し大きめの声で自信ありそうにほぼ「YES」の感覚でインシャアッラーを口にします。
例えば、
のように。
会話はとてもスムーズに進んで終了します。
反対に、相手にその気がないのにただ「インシャアッラー」と言ってその場をやり過ごす場合、これは相手にその意思があるのか何度も聞き返す必要があります。
例えば、
のような感じです。
相手は「もし神が望めばそうするし、そうしなくてもそれもまた神の思し召しなので」とまで細かく考えているとは思いませんが、ただの返事として「はいはい」程度の感覚です。
これが厄介で、筆者は何度も夫が使う後者の「インシャアッラー」に振り回されました。
挙句の果てには「あなたのインシャアッラーは信じられない!何でもかんでもインシャアッラーで済ませないで!」とまぁイスラム教徒が口にしていいのかどうなのかギリギリラインのことを言い放したりもしたり。。。(笑)
それでも夫に言わせれば「インシャアッラー」と言うしか他にないのでしょうけど。
「何でもかんでもインシャアッラーで済ませようとしないで。インシャアッラーって言うなー!」といった感じでしたね。(笑)
あなたが対話するアラブ人がどちらのタイプのインシャアッラーを使っているのか。
この辺が相手の表情やトーンから分かればアラブ人とのコミュニケーション力高めと言えるでしょう。
アラブ人のインシャアッラーの使用法を学んだ筆者は自分も「考えとくね」程度の返事の時にインシャアッラーと口にします。
使っていけば分かるのですが、この「インシャアッラー」って言葉はすごく使えるんです。
返事に困ったら取り合えずインシャアッラーと言っておけば、大抵その場は丸く収まります。
だからと言って、多用しすぎると問題になってしまうことも(笑)
こんなに便利な言葉があるもんだから、アラブ人との約束事は予定通りに進まなくなり、彼らからしたら何の問題もないことでも「キッチリ主義」の日本人は対応に困ってしまうのかも知れません。
そもそも予定なんて神が定めた運命になんて到底敵いっこない人間の計画なんでしょうけど。
そんなこと言っても先にすすめないので、この「インシャアッラー」をマスターしてアラブ人とのコミュニケーション力を鍛えるしかありません。

今日からはじめる みんなのアラビア語
補足ですが、宗教心の厚い姑は「インシャアッラー」で返事をしないとブツブツと小言を言ってきます(笑)
別にいいんですけど、最初のころは戸惑いました。
何か姑に頼まれて「OK」などと英語で返事をしようものならすかさず「インシャアッラーと言いなさい」と注意されます。
これは例え小さな子どもだろうと、キリスト教徒のメイドだろうと同じです。
なので我が家のメイドやドライバーはみんなインシャアッラーをOKの返事として使っています。
もしどうしても譲れない案件があって、相手のアラブ人に「インシャアッラー」と軽くあしらわれたらそこは粘って交渉し続けた方がいいかもしれません。
「インシャアッラー」と言われたらお終いにしてしまうと、思い通りに動いてくれないのがこちらの日常です。
この曖昧さもアラブ生活の醍醐味と思えばそれはそれで気が楽ですが、出張中の日本の商社マンとか、クーラーが故障中で修理をお願いしている最中の人とかそんな呑気に構えるばかりでは自分が苦労するだけですからね。
インシャアッラーをマスターして、あなたもアラブ通になってくださいね^^
インシャアッラー(笑)
こちらの記事も合わせてどうぞ:【身にしみて感じるイスラムの教え】masha’Allah マーシャーアッラーの意味
The New York Times Magazineのインシャアッラーに関する最近の記事