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クウェート生活 PR

【クウェートの日常】我が家の専属ドライバーが仕事を辞めた話

私がクウェートの夫の実家に嫁いできた日から、我が家には二名のインド人ドライバーがいました。

一人はマハブーブ、そしてもう一人はカビールです。

二人ともイスラム教徒で、二人はいとこ同士です。

マハブーブは姑の妹のドライバーで、カビールは姑のドライバーでした。

我が家にかれこれ10年近く勤めていたカビールが我が家を去ったのは2か月前のことでした。

夫と結婚してすぐでまだ車を運転していなかったころ、妊娠中で運転できない時など

カビールには私もたくさんお世話になりました。

急な買い出しも幾度となくお願いしました。

カビールとたまに車で話すことがあったのですが(ドライバーからは普通話しかけてこない)、彼の這い上がり人生はすごいなと思ったものです。

彼はインドのイスラム教徒が多く住む地域出身で、幼いころに父親が他界し小学校を卒業する前に働きに出なければなりませんでした。

彼は私に、「マダム、僕が幼いころは、僕はいつもどうやってお金を稼ぐかということばかり考えていました。」と教えてくれました。

彼は学校こそは十分に行っていないけれど、手先が器用で、大工として働いていた経験を生かして、我が家ではドライバー業以外にも電気工やちょっとした家の中の工事も任されていました。

英語もアラビア語も独学で習得し、コミュニケーションも問題ありませんでした。

ドライバーとしては、物覚えが早く、賢いと姑や夫からも一目置かれる存在でした。

また、カビールのすごいと思ったところは、彼のコミュニケーション力の高さでした。

近所に友だちは作るのはもちろん、私たちと出かける先々で人とよく話していました。

彼はクウェートで姑の下で働く前は、サウジアラビアで7年間ビルダーとして働いていました。

彼には小学校低学年の一人息子がおり、私立学校に通わせているそうです。

「息子には十分に教育を与えたい」とよく口にしていたのを覚えています。

だけど、息子に期待をしているわけではないとも教えてくれました。

自分が老いたときに、彼は息子を当てにして生きていく気はないと私に言ってきました。

自分は家族のために家を建てるし、息子を学校にも行かせるけれど、見返りを求めてのことじゃないと言うのです。

車の移動中の数分しか話さないので詳しいことはいつも謎ですが、彼ら出稼ぎ労働者の置かれた環境は決して容易いものではないのは確かでした。

二年に一度帰国し、二年に一度だけ家族に会える生活です。

子どもが生まれたその日から、もしかしたらお父さんは外国に出稼ぎに行っていたのかもしれません。

そんな彼らの犠牲があって、私たちの豊かな生活は成り立っていることを私たち雇用している側も十分に理解しています。

なので帰国する際は、たっぷりと手土産を持って帰れるように義理の家族はいつもサダカを多く与えます。

そんなカビールですが、今年のラマダーン前に仕事を辞めました。

彼はいつも「自分はもっといい給料の仕事に転職したい。もっとお金が必要です」と言っていました。

カビールが我が家を去る日、私は彼に気持ちばかりのサダカを渡し、

「この家に来た日から、たくさんお世話になりました。ありがとう。頑張ってね。」と伝えました。

労働者たちは一時的に我が家で働いているだけですが、長くステイすればするほど名残惜しくなるものです。

今後、カビールはクウェートに戻り他業種で働くようですが、彼の今後に期待しつつ、お金を稼いでいい人生を歩んでほしいと思っています。

カビールの後任はまたまたインドから来たドライバーでした。

つづく。