この記事では、子どもに三か国語を使わせている筆者の経験をもとにした
多言語教育のメリットと多言語教育を家庭で行う際に気を付けることをご紹介します。
子どもたちの使用言語
アラビア語 (クウェートの共通語)
日本語 (母の母国語)
英語 (学校で使用する言語、家でナニー、メイドと使う言語)
子どもたちの年齢と学校教育
長男4歳(これまでバイリンガル保育園に1年通う)
長女2歳(これまでバイリンガル保育園に2週間通う)
多言語教育のメリット

学問的優位性を与える
自分の文化に対する理解を深める
複数の文化へのアクセス権を与える
就職に有利
歳をとるにつれ脳を健康に保つ
多言語教育で親が気を付けること9つ

- 一人の親、一つの言語。それぞれの親が子どもに親の母国語でのみ会話する。
- 子どもが親の母国語以外で話してきても親は母国語のみで返事をする。子どもが親の母国語で言えなかった部分を親は母国語でオウム返しする。
- 子どもが親の母国語以外で話しても怒ったり感情的にならない。
- テレビの言語設定を子どもにフォーカスしてほしい言語に切り替える。
- 親戚や家族には、彼らの母国語で話してもらう。(ミックスの子どもには潜在的に英語で話しかけてしまう人が多いため)
- 遊びながら言葉を学ばせる。絵本の読み聞かせを毎日する。
- 兄弟同士で話す言葉は親の母国語(家庭で主に使用する言語)にしようと促す。
- 日本人の友だちを作る。日本語補習校に通わせる。
- 日本の家族とのコミュニケーションを大事にする。
親が家庭で気を付けること 具体例①一人の親一つの言語

我が家の場合は夫はアラビア語でのみ子どもたちと会話をし、私は日本語で会話をします。
多言語話者が集まった際に共通の言葉が英語やアラビア語になったとしても、私は子どもたちに日本語で話します。
夫も同様にいかなる状況でも子どもたちにアラビア語で話しています。
具体例②親が母国語でオウム返し

子どもたちは保育園に通いだしてから英語で話す機会が増えました。
私にもたまに英語で話してきますが、私は日本語で返します。
例えば息子が何かを伝えたいときにどうしても日本語で言えなくて英語で話しかけてきたとしたら
息子が英語で言った内容を日本語でオウム返しして、どういう風に日本語で言うのか息子に諭します。
子どもに毎回「日本語ではこう言うのよ」と教えていたら子どもも嫌気がさしてしまいます。
親が日本語に変換してオウム返しするだけで、子どもは日本語でどう表現するのか一通りインプットできます。
具体例③親が感情的にならない

子どもにどうしても親の言語を習得してほしいあまり、子どもが多言語で話したときに感情的に子どもに当たってしまわないようにしましょう。
実際、私は息子が保育園に行きだしたときに英語の語彙が増えて喜びつつも、日本語で話さなくなったことに不安を覚えました。
つい息子に「英語で話さないで」と大人の都合を押し付けてしまったことがあります。
そのことを後日すごく後悔しました。
具体例④テレビの言語設定

我が家のOSNの言語設定は姑の住む一階はアラビア語です。
私たちが住む二階のOSNも同じくアラビア語がメインの音声に設定にしてあります。
なので子どもたちがOSNでパウパトロールなどのnick jr.を観るときはアラビア語の音声になっています。
YouTubeやネットフリックスを観るときには、日本語で観れるものは日本語で観るように勧めます。
おさるのジョージやパウパトロール、ペパピッグなどのメジャーなアニメは多言語で視聴可能です。
子どもが大きくなるにつれて英語がメイン言語になると予想されるので、標準アラビア語や日本語のテレビ番組を使ってインプットをします。
具体例⑤親族の説得

クウェートの公用語はアラビア語ですが、英語も広く使われています。
70代の姑も英語が話せます。
長男が生まれたころ、親戚たちはミックスの我が子を見ると英語で話しかけるので
夫が「クウェート方言で話して」と伝えました。
何度も何度も根気強く説得したため息子はアラビア語のクウェート方言を習得し
親戚も子どもたちにアラビア語で話すのが普通になりました。
具体例⑥遊びながら学ぶ・絵本の読み聞かせ

日本語のかるたや公文の知育玩具で自然と日本語に触れさせます。
公文のひらがな積み木や絵合わせ汽車ポッポ、あいうえお盤はおすすめです。
また、毎日10冊以上の絵本を読み聞かせます。
子どもが小さいうちは母親の母語が強くなりがちなので
日本語の絵本をたくさん読んであげると子どもの語彙力が飛躍的に伸びます。
単に積み木としても遊べるし、家庭学習にも使える!
小さい子でも掴みやすいサイズでおすすめ!
子どもが好きなマグネット玩具に失敗はない!
具体例⑦兄弟間の言語選び
兄弟間で話すときに英語を使うことが増えたので、それとなく「日本語で話してみたら?」とか「妹にはアラビア語で話したら?」と声掛けをしています。
英語を全く使ってほしくない訳ではないですが
出来ることなら幼いうちに兄弟間では親の母国語で話す癖をつけてほしいからです。
具体例⑧日本人の友だちを作る、補習校に通わせる

日本国外で生活している場合、日本人の友だちを作ると日本語を話す機会が増えるので良いアウトプットの場になります。
お子さんが小学一年生以上の場合は、補習校に通わせて宿題も音読も手伝いましょう。
具体例⑨日本の家族とのコミュニケーション

日本に住んでいる家族に毎週決まった曜日、決まった時間にビデオ電話するように努力しています。
母の勧めで文通もさせる予定です。
以上がマルチリンガル教育を家庭で行う際に親が気を付けたい8つの点でした。
これまで、家庭で多くの時間を過ごしてきた子どもたちですが、9月からイングリッシュスクールに通うことも決まり
アラビア語と日本語に増して益々英語が強くなってくるかなと予想されます。
母として出来る努力は、「常に日本語で話す」に限ります。
夫や姑、メイドやナニーとは常に英語を使うので使い分けは簡単なようで難しい。
ついついみんなの共通語の英語にスイフトしてしまう時もあります。
ですが、気が付いたらすぐに日本語に戻します。

地道な努力のお陰か子どもたちは私に90~95%日本語で話してくれます。
これはあくまで「話す(スピーキング)」のはなしであって、「読み書き」の方は別の話です。
長男が小学校に上がるタイミングで補習校に入れようと思っているので、そこでも日本語のサポートをしていこうと思っています。
また、子どもたちはイングリッシュスクールに通う以上アラビア語の読み書きに後れを取るといけないので、近々アラビア語教室にも通わせる予定です。
初めてのことで試行錯誤の日々ですが、最初に書いたメリットにもあるように
ミックスの子女の多言語教育は、アイデンティティの形成に大きく影響するので大変重要です。
数十年後、親も子も後悔しないためにも今この瞬間が大切です。
最後に、日本でバイリンガル子育てを実践されているユーチューバーをご紹介してこの記事を終わりにします。
最後までお読みいただきありがとうございました。