【現地レポ!イスラム教の葬式】アザと呼ばれるクウェートの弔問の実態
昨年末、夫の叔父さんが癌で亡くなりました。その際に私は初めてA’zaと呼ばれるクウェートの葬儀に参列しました。
この記事では、日本人には馴染みの薄い「クウェートの弔問、アザ」いついてご紹介します。
誰かが亡くなると、クウェートの葬儀ではعزاء アザと呼ばれる弔問の集まりが行われます。これは亡くなった人の家族に哀悼の意を示し、精神的な支えを提供する為です。
1、期間と場所
・アザは通常、埋葬後3日間続きます。親族は初日から連日参列し、友人などは2日目以降に参列する人がほとんどです。なお、親しい間柄の場合、3日間連続して参列することもあります。
・アザの弔問の時間はアスルプレイヤー後からマグリブプレイヤーまでの間の時間です。大体、3時半くらいから5時半までの間と考えていいでしょう。後半に行くにつれて、混雑しますので、行くなら早めをお勧めします。
・アザの会場は男女で別々です。女性は故人の家で弔問客を迎えることが一般的ですが、男性は家族のディワニヤ(客間)やシーア派の場合フセイニーヤと呼ばれる宗教施設で集まることが多いです。
2、弔問の習慣とマナー
・参列者は黒や落ち着いた色の服装を身につけ、敬意を示します。
女性の場合は、アバヤを身につけ(ヒジャーブはしなくてよい)、化粧はしない方がいいです。派手な見た目を避け、遺族に敬意を払います。ハンドバッグは持ってこない人がほとんどです。男性は、ディスダーシャを身につけるか、派手な色を避けた服装で参列します。
・会場に入ったら、親族に挨拶をして席につきます。大勢人がいますが、一人一人に挨拶をする必要はなく、親族に “adtham allah ajerkom” アザム・アッラー・アジャルクム とお悔やみを伝えます。アザム・アッラー・アジュルクムの大まかな意味は「アッラーからのアジュル(報酬)があなたたちにありますように」となります。言われた親族は、あなたにも神の慈悲がありますようにと返事をしてくれます。
・会場にはバレットパーキングがあることがほとんどなので、駐車場の心配はしなくて大丈夫です。
・親族にお悔やみを伝えたら、15分程度座って退席して大丈夫です。その間、隣とぺちゃくちゃお喋りをしたり、携帯でSNSを閲覧したり、オンラインショッピングをするのは控えた方が良いでしょう。

3、おもてなしと食事
・親族は通常、料理をせず、食事を準備しません。
・スンニ派のアザではペットボトルの水やデーツが配られるくらいで、食事は提供されません。シーア派はコーヒーや紅茶、スイーツなども出されるようです。
・イスラム教の葬儀では供花や香典などの習慣はなく、とてもシンプルです。
4、文化的・宗教的な意義
・アザは、遺族が孤独にならないようにするための儀式であり、クウェート社会において非常に重要な役割を果たします。
・イスラムの価値観である「サブル(忍耐)」と「タワックル(神への信頼)」を強調し、遺族に心の支えを提供します。
・公式な喪の期間は3日間ですが、親近者はより長く喪に服すこともあります。
5、喪に服する期間と慣習
・大声で泣くことや過度な嘆きは推奨されません。イスラム教では、故人のために祈りを捧げ、静かに哀悼の意を表すことが重視されます。
・未亡人はイッダと呼ばれ、4ヶ月10日間の喪に服す期間を過ごします。この間、社交的な集まりを控え、目立つ服装や化粧を避けることが求められます。
・親族の集まりであるファミリーギャザリングにも参加できなくなるので、その際には親族が遺族の家に出向いて一緒に時を過ごします。
まとめ
クウェートのアザは、葬儀後の重要な儀式であり、遺族を慰め、故人のために祈りを捧げる場です。イスラム教の教えに基づき、シンプルでありながらも深い意味を持つ弔問の習慣として、クウェート社会に深く根付いています。
日本だと、誰かが亡くなると、遺体を自宅に連れて帰り、葬式まで一緒に過ごすこともありますがイスラム教では故人は速やかに埋葬され、お墓には男性しか行きません。
そして、故人の写真を額に入れて飾ることもなく、遺族は泣きながらも「アルハムドゥリラー」神様のおかげで、と口にします。
これは最初は衝撃でした。大切な人が亡くなってもお陰様でと感謝をするのです。
それは、イスラム教徒の考えでは、故人は神の元に帰って天国で過ごすことになるからなのでしょう。現生は来世のために徳を積む場でありますから。
そんな姿を目の当たりにした私は、人の死こそがイスラムをよりリアルに体験する場だと感じたのでした。
ムスリム協会によるイスラムの葬儀に関する記事はこちら


