マルハバ!
前回のクウェート人家族と同居して思うこと②では余裕のあるクウェート生活の良い点をお話ししました。
今回は第3弾、豊かなクウェート生活の難点をお話しします。
1、不健康になりやすい
クウェートは、砂漠気候で一年のほとんどが高温なため外を歩く習慣がありません。
日本の都市部とは違って主な交通手段は車なので、建物のドアから駐車場までしか基本的に外は歩かないことになります。
動かない生活なので体重も増えやすく、油断すると危険です。
また、こちらの人は大変夜行性で夜遅くまでギャザリングやパーティーをするのが普通なので子どもも大人も早寝早起きの習慣があまりないと言ってもいいでしょう。
イスラム教徒は、朝一の礼拝(ファジャルプレイヤー)があるので日が昇る前に起きる人もいますが、礼拝後にまた寝る人もいます。
子どもの学校にお迎えに行ったら、大抵2〜3人は座ったまま寝ています。
2、メイドが子育てをする
金銭的に余裕のある家庭はメイドやナニーを複数人あるいは子ども一人にナニー一人を雇うので、親の育児負担はかなり軽減されますがその分ナニーが子どもを育てかねません。と言うのも、親が子供と過ごす時間よりナニーが子供と過ごす時間の方が長くなってしまうことがあるからです。
ビートルマニアの知り合いのクウェート人女性の子どもは、1歳前後で喋り出した時、タガログ語混じりの英語を話したと言っていました。
また、親が子どものことを把握していないことも多くなりがちで、レストランで注文する際に自分の子どものナニーに「この子は魚とチキンだとどっちがいいの?」と聞くことも。
クウェートの家庭で子沢山が多いのは、メイドやナニーのヘルプがあってこそだとわたしは思います。そうでなければ短期間で6人7人産むのは容易ではありません。
3、資源の無駄遣いが多い
クウェートは言わずと知れた産油国です。豊富な地下資源の恩恵からガソリンや電気、ガス、水道料金はとても安く抑えられています。そのため、電気をこまめに消すとか、クーラーの設定温度を下げすぎないとか、ガソリン代を節約するといった努力はほとんど見受けられません。
スーパーでは、プラスチックの袋が大量に支給され環境への意識はかなり乏しいと言えます。家の電気は24時間付けっぱなし、家のクーラーは24時間稼働、ガス代も数百円となると、メイドなども含め全体的に資源を大切にしようとする心がけはありません。
4、クーラーのない生活に耐えられなくなる
クウェートの家庭はどこもセントラルACといって家全体にクーラーが24時間連続でかかりっぱなしです。どこの部屋へ行っても冷えているせいで、体が冷えるだけでなく滞在が長くなって慣れてしまうと今度はクーラーなしではいられなくなります。(私のこと🙋♀️💦)
そして、24/7で稼働しっぱなしのACは広い一軒家で一体何台あるのか、それがこの猛暑でよく壊れるんです。なので半年ごとに業者を呼んでは修理して、数年に一度は家中のセントラルACを業者に清掃してもらいます。掃除だけで丸2日かかるので、日中は家から避難して生活しなければなりません。
5、水が熱い
これは国が豊かかそうでないかは関係ありませんが、豊かなはずのクウェート生活でも「暑さ関係」のことは全然豊かじゃありません。
クウェートの家庭では屋上に水を貯めるタンクがあるのですが、このタンクにも屋根が付けられていて、タンクをクーラーで24時間冷やしているのにそれでもすぐに水が熱くなります。暑すぎて夏場はお湯を止めています。美肌のために冷水で顔を洗うことは叶わないし、子どもたちは水が熱くて手を洗うのを嫌がります。
6、親族付き合いが超濃厚
これはメリットでもありますが、時にはデメリットにもなります。と言うのは、健全な親族ばかりではないからです。どこにでもある話ですが、親族の中には子育てについてあれこれ口出しをする人たちがたくさんいます。(笑)
子どもは異常に見えるから医者に見せなさいと言われたり、靴下を履かせるまでずっとぐちぐち言ってきたり、ああしなさいこうしなさいが強くてお節介の程も日本とは比べ物になりません。特にわたしのように異文化で育った身としては、姑や叔母が持ち出すクウェート特有の迷信は謎だらけです。

7、交際費がかかる
クウェート人はパーティーが好きで、結婚式やお祝い事も多いのでサロンや衣装代に結構お金がかかります。パーティーではある程度華やかな衣装を身につけ、ダイヤやゴールドのジュエリーは勿論ハイエンドなブランドバッグやシューズで「見せる文化」もあるので慣れない人には大変です。
パーティーや結婚式は日常茶飯事なので、義理のクウェート人家族は欧米の旅行先々でパーティードレスを何着も購入し、クローゼットに収まりきれないほどの靴や衣装をキープしています。姑や叔母の衣装が多すぎて、我が家の2階にまでその手は及んでいるのです。笑
8、多国籍な文化がカオスに混じり合う
クウェートにはインド人もいれば、バングラデシュ人もいて、イギリス人もフィリピン人も共存しています。人口のほとんどが外国人なので、バックグラウンドは実に様々で日々色々なカオスを巻き起こしています。例えば車の運転の仕方にしても、公衆衛生にしても考え方は千差万別です。
交通マナーに関して言えば、国籍に関係なくルールを守らない人がとても多いです。駐車禁止を守らない、堂々と路駐する、信号を守らない、レジ・病院の列で隙あらば横入りする、その他もろもろルールをルールと思っていない人々が大勢います。
9、露骨な人種差別
はっきりと言って、クウェートで人種差別はよく目にします。もしかしたら自分も差別を受けているのかもしれないし、差別をしているのかも知れません。
よく見聞きするのは、クウェート人が外国人に対して傲慢な態度をとったり、アラビア語話者のアラブ人が非アラブ人に対して横暴に振る舞ったりすることです。
アジア系だと、女性が軽く見られて性被害に遭ったり、使用人に対して尊厳を示さなかったりすることもあります。給料面でも国籍別に最低賃金は定められてるらしく、フィリピン人メイドの給料とスリランカ人メイドの最低賃金は異なります。
10、ロゴで判断し判断される人々
クウェートにはブランド好きな人が大勢います。高級車に高級バッグ、街はロゴで溢れ人々はロゴで判断されると言っても過言ではないかも知れません。それがこちらの文化なのだとあるクウェート人女性はわたしに教えてくれました。車はラグジュアリーカーじゃないとダメだと😅 ブランドの好き嫌いは完全に個人の好みなので自分の好きなようにすればいいと思いますが、親の影響で子どもたちがロゴにしか価値を見出せなくなったり、持ってる持ってないで仲間外れにされたりするのは問題ですね。
過去にこんな記事も書いたので参考までに:
ブランドがすべて?クウェート人の我が子に教えたい他人の価値観に惑わされない自分軸の持ち方
いかがでしたか?
豊かなクウェートの生活にもダークな部分は勿論あります。どこの国や文化でも同じです。
それを踏まえても、わたしはクウェート生活が好きです。
ありきたりな表現ですが、クウェートには「お金の豊かさ以上に人々の心の豊かさ」があります。それが富める人もそうでない人も、クウェートを好きにさせるんだとわたしは思います。クウェートも漏れなくアラブ世界の最大の魅力はアラブ人の人柄、人情でしょう。
クウェートで出会う多くの人々は人間味に溢れ、先の見えない明日よりも今この瞬間を生きている感じがします。だからあれだけ楽観的になれるのかも知れません。
アッラーだけを信じて、アッラーに人生を委ねているからなのか。
これからもクウェートの人々と触れ合う中で自分なりの「アラブ」に対する答えを模索できたらいいなと思うビートルマニアなのでした。

E01 地球の歩き方 ドバイとアラビア半島の国々 2020~2021 (地球の歩き方E アフリカ・中近東)