クウェートでアラブ人の夫と家庭を築いて10年以上。私は4人の子どもを育てながら、「日本語・アラビア語・英語」という三言語環境の中で、トリリンガル育児を実践してきました。

この記事では、我が家の子どもたちがどのように3つの言語に触れ、それぞれの言語をどう使い分けるようになっていったか――。実際の流れや、子どもたちの反応、親としての工夫や気づきを交えてお伝えします。

【トリリンガル子育て】多言語教育 マルチリンガル教育のメリットと家庭で気を付けたいこと

言語環境の前提:三つの言語が共存する家庭

まず、我が家の基本的な言語環境をご紹介します。

  • 母(私):日本語のみ
  • 父(夫):アラビア語のみ
  • メイド、ナニー:英語
  • 家庭外(学校・社会):英語、アラビア語、日本語
  • 義理の家族・親戚:主にアラビア語+一部英語
  • 子どもたちのメディア接触:日本語・アラビア語・英語混在

このように、日常の中に3言語が自然に存在している状態で、子どもたちは生まれ、育ってきました。

OPOL = One Person One Language って知っていますか?

幼児期:最初に話し始めたのは「日本語」

4人の子どもたちに共通して見られたのが、幼稚園入園前の段階では日本語がもっとも自然に出ていたということ。

その理由は、以下のとおりです。

  • 母親である私と最も長い時間を過ごしていた
  • 毎日日本語で話しかけ、絵本や歌も日本語で浴びるように聞いていた
  • 幼稚園に入るまでは英語・アラビア語に触れる機会が限定的

つまり、最初に言葉として出てきたのは「ママ」「おはよう」「これなあに?」といった日本語の言葉でした。

幼稚園入園後:急速に強くなった「英語」

しかし、子どもがインターナショナルスクールに通い始めると、英語が急速に優位になっていきました。

  • 英語が学校生活の中心(先生・友達との会話)
  • 英語の読み書き教育が本格的に始まる
  • 子ども同士の会話が英語化していく(きょうだい間でも)

特に第二子以降は、きょうだい同士でも自然と英語で話すようになり、「日本語!もしくはアラビア語!」と親がリマインドする日々です。

父親の徹底した「アラビア語ポリシー」

一方、父親である夫は、子どもに対して一貫してアラビア語のみで話しかけてきました。

  • 絵本の読み聞かせもアラビア語
  • 会話も100%アラビア語
  • 家族との会話でも、子どもにはアラビア語

このため、第一子は特にアラビア語の語彙も豊富で、会話力も高い傾向があります。ただし、義理の家族が英語を交えて話すため、アラビア語が「絶対に必要な言語」として認識されにくいという側面も否めません。

家庭外でいうと、第一子はアラビア語の塾に通い、第二子は5才からアラビア語のチューターを週2回利用しています。

トリリンガル傾向が強いのは「第一子」

第一子は、比較的日本語・アラビア語・英語をバランスよく使い分けることができます。これは以下のような環境要因が大きいと感じています。

  • 幼児期に日本語を集中的に吸収
  • 父からのアラビア語シャワー
  • 学校での英語環境
  • 弟妹がいなかった分、親との対話が中心だった

そのため、本人の中で「3つの言語が自然に共存」しており、状況に応じて切り替える力も高い印象です。

また、第一子は小学生なので毎週末、日本語補習校に通っていますし、私とほぼ毎日「にほんごタイム」と名付けて漢字や音読の練習を習慣化しています。
さらに週2回、アラビア語でコーランを習っています。

第二子以降は「英語メイン化」が加速

一方、第二子以降は明らかに英語優位となっています。

  • 幼少期から第一子の英語を聞いて育つ
  • 子ども同士のやり取りが英語中心
  • 英語メディア(YouTube・アニメ・ゲーム)の影響力が大きい

たとえば、私が日本語で話しかけても、英語で返ってくるということも少なくありません。兄弟姉妹がいる家庭では、親だけでなく、きょうだいから受ける言語影響が非常に大きいと改めて実感しています。

親としての言語サポート:映画・アニメ・読み聞かせ

トリリンガル育児において、親ができる工夫は「意識的なインプットの提供」だと考えています。我が家では以下のような工夫をしています。

  • 日本語の絵本を毎日読む
  • 日本語とアラビア語のアニメを意識的に視聴
  • 英語メディアに偏らないよう選択肢を親が与える
  • 各言語に触れる「習慣」を日常に取り入れる

それでもやはり、一番影響が大きいのは「学校言語」=英語。今のところ、子どもたちの「好きな言語」も英語であるように感じます。

まとめ:我が家のトリリンガル育児のリアル

言語習得順主な使用場面習得度(第一子)
日本語1番目母との会話・読み聞かせ
英語2番目学校・友人・きょうだい非常に高
アラビア語同時期父・祖父母との会話高(第一子)、中〜低(第二子以降)

トリリンガル育児は、時に迷いや不安もありますが、3つの文化に触れられる子どもたちの姿はとても誇らしく、豊かだと感じています。

今後も、3つの言語を「自然に」「楽しく」使いこなせるよう、親としてできるサポートを続けていきたいと思います。