クウェートにいると街の至る所で高級車を目にします。
高級車、大きな家、デザイナーズバッグにハイブランドのファッション。
街はロゴであふれ、「ハイブランドじゃないとダメ」みたいな風潮が老若男女問わずはっきりと現れているといっても過言ではありません。
クウェート大学の駐車場は、大学なのに高級車のオンパレード。
留学していた当時、すごい違和感を抱いたのを覚えています。
モールに行けば、すれ違うほとんどのクウェート人は海外のハイエンドな鞄を身に着けています。
小中学校でもブランドバッグを持って登校する子もいます。
物心つく前から親がブランド品を子どもに買い与えるのです。
私の義理の家族の話を少しします。
夫曰く、姑は昔はブランド物にこだわりを示さなかったのに今では高級な鞄を常に使用しています。
一体いくつ所有しているのかは知りませんが、恐らくうん十個以上はあるんじゃないかなと思います。
私が夫と結婚したころ、恥ずかしながらデザイナーズバッグのことをほとんど知りませんでした。
そんな私を見て何を思ったのか、姑は私に数々のブランド品をプレゼントました。
CHANEL, Bottega Veneta, Balenciaga, Hermèsなど
姑は義理の娘を喜ばせるために、自分に娘がいたら買い与えていたであろう物を私にプレゼントしてくれたのではないかと思います。
姑の妹たちはどうかというと、同じ感じです。
高級バッグに、高級車、特別お金持ちではないけど我が家のギャザリング最中のソファーには海外の高級バッグがずらっと並んでます。
ある日、仲のいい夫のいとこと「何でクウェート人はブランド品ばっかり集めてるのか」という話題になり、いとこは私にこう言いました。
「これがクウェートの文化なのよ。人はロゴで判断されるの。あなたには分からないわ。スズキとかホンダの車には乗れない。レクサスとかメルセデス、BMWじゃないと。」
人それぞれ考えは異なりますが、多くのブランド好きな人はブランド品で自分の価値を見出そうとしているのではないでしょうか。
そのいとこは30代で、ファッションセンス抜群のナイスレディですけどね。
夫はというと、まったくブランド品に興味がありませんし、持ってません。
私はそんな夫の在り方が好きです。
他人の価値観で買い物をするのではなくて、本当に自分が欲しくて買えるものを理解しているからです。
高級車を乗り回すクウェート人の中には、何年もローンを組んでる人も大勢います。
高卒で初めての車だけど、とりあえずBMWじゃないと仲間に笑われるから中古のBMWを買い与える親御さんも知っています。
親が子どもに身の丈に合った買い物、他人目線で買い物をするのではなく本当に自分が価値を感じるもの、無理なく自分で買える範囲の値段の物を買うことを教えないと、この国で育つ子どもたちは「ブランド品じゃないと価値がない」と思いこんでしまうんじゃないかと心配しています。
うちの子の通う学校では、ユニフォームから髪飾りまですべて学校指定です。
理由は、学校にブランド品を身に着けて来させないためだと入学説明会で説明を受けました。
学校によってはお金持ちの子が大多数の学校もあって、そこに通う一般家庭の親は子どもが多感な時期になると周囲に合わせるので大変だと聞きました。
ほとんどがmade in Chinaなのに(笑)ロゴに惑わされて自分を見失う子にならないように家庭で教育する必要があります。
最後に、クウェート人は金持ちだから高級品を買えると思っていませんか。
確かにビックリするくらいのお金持ちもいます。たくさんいます。
それでも大多数の一般市民はミドルクラスで、ローンを組んで高級車を買い、給料のほとんどをブランド品につぎ込む人だって中にはいます。
それに街で見る女性のバッグがすべて本物だとは思わない方がいいでしょう。
見栄っ張りな人々は、見栄を張ることで満足感を得ます。
生き方は人それぞれですが、たった一度きりの人生を他人の価値観で生きるのはもったいないと個人的には思います。
本当に自分が欲しいもの、価値を見出すものに投資をする。
自分軸を大切にしたいですね。
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