最近、日本でもイスラム教徒の人口が増え、訪日するムスリムの方も増えたことで、イスラム教徒との交際や結婚に関心を持つ人が以前よりずっと増えているように感じます。
私のブログでも、そのようなテーマの記事がよく読まれるようになりました。

需要があるということは、それだけ「気になっている人」「真剣に考えている人」が多いということだと思います。
そして、中東、アラブに嫁いで10年が経った今だからこそ、ここで暮らして初めてわかったことを、これから交際を考える方へ率直にお伝えしたいと思います。

1. 交際を始める前に、「イスラムを受け入れられるか」を先に考える

交際相手が素敵かどうか以前に、まず大切なのは、自分がイスラムという宗教や価値観を受け入れられるかどうかです。
恋愛感情が先に立つと見えにくくなりますが、宗教はこの先ずっと関わってくる大きな土台です。
後から「やっぱり無理だった」となると、双方にとって大きな負担になります。
「後から考えればいいかな〜」でスタートすると、後々大きく傷ついてしまうこともあるかもしれません。なぜなら、イスラム教徒にとって、宗教は人生そのものだからです。何よりもアッラーを大切にしている人々です。「愛があれば宗教は乗り越えられる」と果たして言えるでしょうか。

2. 交際するなら、結婚を前提に考える

日本の感覚で「まずは付き合ってみて、それから考える」という気持ちで進むと、思っていた以上に重い意味を持つことがあります。
特に宗教や家族観が強い環境では、交際は将来の結婚と切り離して考えにくいものです。
だからこそ、軽い気持ちではなく、結婚まで見据えて向き合う覚悟が必要だと感じます。イスラム教に改宗する気が全くないなら、そのことも初めのうちで伝えておいた方がいいでしょう。

3. 結婚は「相手の男性」とだけ結ぶものではない

アラブやムスリムの家庭では、結婚は本人同士だけの問題ではありません。
実際には、相手の家族との関係も含めて、結婚生活が形づくられていきます。
「彼と結婚する」というより、「彼の家族の一員になる」という意識を持っておいた方が、現実とのギャップが少なく済みます。
そして結婚前に、相手の家族の宗派や、宗教観などもパートナーと話し合う必要があります。義理の家族がどの様な人たちなのか、たくさん話を聞きましょう。

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4. 日本のような距離感の親族付き合いは少ない

日本では、結婚しても親族とは適度な距離を保つ家庭が多いですが、こちらではその感覚はかなり違います。
家族同士の関わりが深く、日常の中に親族の存在が自然に入ってきます。
それを温かいと感じる人もいれば、最初は負担に感じる人もいるでしょう。
どちらにせよ、日本の感覚のままでは難しい場面が出てきます。
毎週ファミリーギャザリングはありますし、冠婚葬祭だけでなく日常的に親族は交流します。毎日電話をかけ合い、同居だと毎日食事を一緒に取ります。

5. 夫婦というより「家族単位」で物事が進むことを理解する

日本では夫婦の間で完結することも、こちらでは家族の意見や習慣が強く影響することがあります。
特に男性は、母親や家族との結びつきが非常に強いと感じる場面が少なくありません。
良くも悪くも「個人」より「家族」が優先されることがあるため、結婚後はその前提を理解しておく必要があります。
パートナーがイスラム教徒の男性の場合、家族の大黒柱、中心的な存在とみなされ、頼まれごともやる事も多くなりがちです。
我が家の場合、夫はひとりっ子なので、義母のお世話は夫が全てになっています。

6. 子育てへの口出しは、日本よりずっと多いと覚悟する

子育てについても、周囲から意見を言われる場面はかなり多いです。
日本でもお節介はありますが、こちらはその比ではないと感じることがあります。
祖父母、親族、配偶者の家族など、さまざまな立場から意見が入るため、自分たちだけの育児を守る難しさがあります。
事前に、どこまで受け入れるか、どこからは線を引くかを話し合っておくことがとても大切です。
結婚後は、家族のお節介が過ぎたせいで夫婦関係が悪化しないように、上手に対応する術を身につけるのも大事になります。

7. 結婚前に、宗教観のすり合わせを徹底的に行う

最も重要なのはここかもしれません。
「結婚したら少しずつ慣れるだろう」「あとで話し合えば大丈夫」と思っていると、後から大きな衝突になりやすいです。
祈り、食事、服装、子どもの教育、祝い事、親族との付き合い方、離婚に関することなど、宗教観が関わることは思っている以上に多岐にわたります。
結婚前に、どこまで同じ価値観でいられるかを丁寧に何度も確認しておくべきです。



異文化の相手との交際や結婚には、もちろん素晴らしい面もたくさんあります。
視野が広がり、家族のあり方や愛情表現の違いに触れ、自分自身も成長できる場面が多いです。
ただし、そこには「違いを楽しむ」だけでは済まない現実もあります。

だからこそ、憧れだけで進まず、生活・宗教・家族・子育てまで含めて、現実的に考えることがとても大切です。
私自身、ここに住んで初めて分かったことがたくさんありました。
これからアラブ人やイスラム教徒との交際を真剣に考える方には、ぜひ感情だけでなく、生活の現実も見据えて判断してほしいと思います。

イスラームにおける結婚